神戸市 兵庫区の方へ 参考事例【擁壁(ようへき)・型枠ブロック塀工事施工事例】


■ ブロック塀が膨らんでしまっている
■ お隣に迷惑をかけないよう工事したい

70代のお客様からのご依頼です。お客様のお父様が生前に住んでいらっしゃったお宅のブロック塀が、土圧に耐えられずに膨らんでしまい、お隣の敷地にはみ出てしまっていてお困りでした。お隣のお宅のご迷惑にならないよう、敷地内での工事をしてくれる業者をお探しのところ、インターネットで当店を見つけて、ご依頼をいただきました。

立派な玉石積みの塀がお宅の周りをぐるりと囲んでいます。道路から1メートル50センチほど高い場所にお宅が建っています。(玉石積みの塀の向こう側は全て土で、その上に庭木が植わっている状態です。)塀のすぐ横(お車が写っている部分)は、お隣のお宅の敷地です。

問題のブロック塀は、土圧をかけられる構造のものではありませんでした。そのため、土圧に耐えられずにブロック塀が押され、10センチほど斜めに膨らんでいました。そして、よくよく調べてみると、「ブロック塀が膨らんだから境界線をはみ出てしまっている」のではなく、もともとの設置位置が間違っていて、お隣の土地に越境していることがわかりました。

 

こちらがご提案させていただいた図面です。

基本的に、塀を作成する際、低い土地から作成していきますが、今回の場合、お隣の土地のほうが低い位置にあります。そのため、お隣の敷地から1メートル70センチまでを塀に沿って3メートル程度掘り下げ、土を全て移動させ、お隣の土地と同じ高さの環境を作ってから、新しく作る基礎を作成する必要があります。お隣の敷地側から工事をすると、より簡単なのですが、ご迷惑をおかけしないよう「お隣の敷地に入らない」という条件がございましたので、当初は「土を運び出す際に使用するダンプカーをご自宅の門から入れよう」と考えていました。
ところが、ご自宅の門には立派な門かぶりのマツノキがあり、そのマツノキを傷付けずに、ダンプカーを通すことは不可能でした。

そこで、門からダンプカーを入れることを諦め、外の道路側から入れることにしました。その際、お隣の敷地から1メートル70センチまでの部分の玉石積みの塀も一旦外し、後ほど復元するというご説明もしました。

2メートル以上の擁壁(ようへき)を作成する場合は、このような図面をきちんと作成し、役所に「建築確認申請」をしなければなりません。
業者によっては、故意に図面を作成する手間を省いて工事を開始したり、そもそも建築基準法を理解しておらず、作成する必要があると知らない場合などもあります。建築確認申請をせずに造った場合、完成後に役所から指摘を受け、「違反建築物」とみなされてしまうこともあります。違反建築物とみなされた場合、その後、家を建て直そうと考えた際に、役所からの建築許可がおりなくなる、という可能性もあります。

このようなことを避けるためにも、業者を選ぶ際は、提示された金額だけでなく、きちんとした知識のある、法にのっとった提案・施工をしてくれる業者を選ぶことをオススメします。

施工が始まりました。お写真はご自宅側からお隣との境界線の方を見て写したものになります。この部分に、基礎を作っていく必要があるため、土を一旦全て移動させなければなりません。その為、庭木を伐採して取り除きました。(※当店は、お庭のリフォームをさせていただく際、なるべく既存の木を伐採せず、デザインとして活かす方法をとりますが、今回の場合は、移植の為のお時間が取れないことや、お客様のご希望により、伐採することになりました。)

こちらがご自宅の門になります。図面の部分でご説明していた通り、立派な門かぶりのマツノキがあります。こちらの門をダンプカーが通って工事できれば、工期もコストもカットできるのですが、今まで門かぶりの木として、長年お宅を守ってきたマツノキを傷付けるのは危険です。日本で昔からよく言われる「役木」や「ご神木」といった「言い伝え」が、無視できない”とても大切なこと”であることを、お庭仕事をしながら、私どもは常々感じております。
ご提案どおり、玉石積みの塀を、お隣との境界線から1メートル70センチの幅だけ解体し、そこから土を出します。

(※門かぶりの木・・・ご自宅や敷地内に入る際に、必ずその下をくぐりぬけるように配置されている木。そのお宅のシンボルツリー。役木(やくぎ)とも呼ばれ、傷付けたり伐採すると、良くないことが起きると昔から言われている。)

玉石は元の通りに復元できるよう、布製のガムテープに番号を書き、貼っていきます。その際に注意することは、テープの位置です。お写真を見ていただくとわかりますが、全ての石の真ん中に、垂直にテープが貼られています。こうすることで、番号だけでなく、石の向きまでも、確実に再現することができるのです。

フェンスをはずし、玉石の塀を解体するために、内側の土を掘って出していきます。

やっと土がこの状態までなくなりました。玉石の裏に、コンクリートが頑丈に分厚く入れてあるため、玉石を壊さないよう、コンクリートの部分だけを手作業で崩していきます。3人がかりで慎重に作業します。

土の移動が完了しました!ブロック塀のぎりぎりまで土があったことが分かります。新しい基礎を作るため、既存のブロック塀を壊していきます。

基礎の底面を平らにし、構造体の位置を決めるために捨てコンクリートを打ちます。捨てコンクリートに位置などを直に書き込んで、基礎の鉄筋を組んでいきます。

(※捨てコンクリート・・・直接的に建物の強度に関わるわけではないが、建物を建てる際、基準線を出したり、足場をつくりやすくしたり、職人が作業をしやすくする為に打つコンクリート。作業を進めるのにとても大切な役割を担う。)

工期を短縮するため、圧送車を使用してコンクリートの打設を行いました。コンクリートポンプ車からコンクリートを圧送してもらい、バイブレーター(振動機)で、コンクリートの中の空気を外に出し、締め固めます。

基礎ができたら、型枠ブロックで擁壁(ようへき)をつくります。本来、擁壁をつくる場合、塀の表裏の両側から締め付けて型枠を作るのですが、その方法の場合、お隣の敷地に入らないと施工ができません。そのため、今回は、ブロックが型枠の形をした、型枠ブロックを使用します。型枠ブロック塀は、ブロック自身が型枠の役目をし、相当量の鉄筋とコンクリートを充填することができます。当店は、公共事業でも使用されているJISマーク(日本工業規格に適合している製品につけられるマーク)付きの型枠ブロックを使っています。

1週間程度の養生期間をとり、擁壁(ようへき)が完成しました。その後、移動させていた土を戻す作業を行います。

土を戻した後、玉石積みの塀を復元していきます。解体前に貼ったテープをもとに再現していきますが、とても難しい作業です。経験豊富な熟練の職人が1つずつ丁寧に積んでいき、元通りに復元することができました!

お隣の敷地にはみ出していた部分を、このように正しい位置にセットバックしました。雨水が溜まらないよう、水抜き穴もつくりました。

完成しました!この後、お庭づくりをした際に出る残った土を埋めることができるよう、スペースを残しています。

 

ビフォアーアフターです。お客様には 「膨らんでしまっていた塀が修理できて嬉しいです。長年悩んでいた境界線のことも解決し、ホッとしました。」 と、お喜びいただきました。今回のように、”お隣のお宅にご迷惑をかけずに施工をする”にはどうすれば良いか。当店の、女性1級建築士や職人たちの知識や経験が光る施工となりました。

「雨が降ると、塀を乗り越え、隣の敷地に土が流れ込んでしまう・・・」などのお悩みは、擁壁(ようへき)に問題があるというサインです。長年放置しておくと、ご近所トラブルにつながることもありますので、ぜひ、当店にご相談ください。

お客様が、安心して暮らせるお宅、お庭になるようなご提案、正しい知識、熟練の職人が、今後もしっかりとお手伝いをさせていただきます!

神戸市、芦屋市、西宮市のお庭、雑草のお悩みはお任せください。
ご相談・お見積りは無料です。(※しつこい営業も致しません)